折りに触れ書いているように、私は是枝裕和監督の大ファンである。2008年の『歩いても歩いても』、2009年の『空気人形』と珠玉の名作を2年連続で観ることができただけに、公開作品のなかった昨年は少々寂しい思いで映画館に通っていたのも事実。そんなわけで来月公開の『奇跡』が待ち遠しくて待ち遠しくて・・・。
もっともファンの方ならご存知のとおり、『空気人形』と『奇跡』の間にも彼の作品は世に放たれていた。昨年夏にNHKで放送された「妖しき文豪怪談」の中の一編、『後の日』と、そして今年2月発売のAKB48『桜の木になろう』のPVである。
モーニング娘。の二期メンバーあたりでアイドル識別の限界を迎えた私にとって、AKBは未知なる集団。“大島”や“前田”といったよく見聞きする名前も、それがどの子なのかはさっぱりだ。
まあ今回はこれがよかったようで、『桜の木になろう』のPVを邪心なく(笑)純粋に是枝監督の映像作品として堪能できた。
中学時代に亡くなった友人の思い出を胸に大人になっていく同級生たちと、そんな彼女たちを死んでからもずっと見守り続けているその友人。彼女らの目に見えないつながり、絆。懐かしい母校の校庭にある大きな桜の木に彼女たちが寄せる想い。そして、死んだ者、生きる者それぞれが解放されゆくかのようなラスト・・・。
冒頭にセリフもあるが、基本はセリフなしで見せるハートフル・ファンタスティック・ホラーといった感じのストーリーが心地よく胸を打つ。あるシーンでは『歩いても歩いても』のワンシーンが私の頭の中で強烈にフラッシュバックした。こんな短い作品にも是枝ワールドがしっかりと息づいているのだ。
「MUSIC ON ! TV」等の邦楽チャート番組で使われるこのバージョンのほか、冒頭に長めのドラマパートが挿入される「完全版」なるバージョンもあり、是枝監督の映像作品とし観るのであればこちらのほうが断然オススメ。
(ただしメンバーの歌唱シーンが一切ないため、AKBファンには納得のいかない「完全版」かもしれない・・・)
かつてはネスカフェや日産のテレビCMで、子供を起用して素敵な作品を撮っていた是枝監督。映画以外でも実に魅力的な仕事をするこの監督が、私はやっぱり好きなんだよなあ。
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倖田來未 画像
完全なる自己満だとしても
いぃんです
楽しかったから